ミナミでナンパして理想の彼女を手に入れた
- 2016/03/16
- 20:00
10年前、大好きだった彼女がいた。
心から愛していて、将来は結婚するつもりだった。
でも、彼女は日に日に太っていき、
気付けば、豚になっていた。
それが耐えられなかった。
どうしても許せなかった。
僕は泣く泣く別れを告げた。
胸が張り裂けそうだった。
もうこんな思いはしたくない。
絶対に太らない子と付き合いたい。
……。
そうだ。
胃下垂と付き合おう。
心から愛していて、将来は結婚するつもりだった。
でも、彼女は日に日に太っていき、
気付けば、豚になっていた。
それが耐えられなかった。
どうしても許せなかった。
僕は泣く泣く別れを告げた。
胸が張り裂けそうだった。
もうこんな思いはしたくない。
絶対に太らない子と付き合いたい。
……。
そうだ。
胃下垂と付き合おう。

「ミナミでナンパして理想の彼女を手に入れる」

火曜日 19:00
はやる気持ちを抑えながら、駅の階段を駆け下りた。11月のある日の夜。ikasuiは、精子と卵子が入り乱れない街 川西能勢口駅へと降り立った。大阪と兵庫の県境にあるローカル駅だ。

【川西能勢口駅】(兵庫県川西市/阪急電鉄)
乗降者数47,235人
ミナミの女性は擦れた子ばかり、あんな街では彼女は出来ない。田舎で純粋な子を探すんだ。ikasuiはブログタイトルを完全に無視し、日々ローカル駅での婚活ナンパに明け暮れていた。

改札口付近を歩いていると、一人の女性が通り掛かった。可愛らしい童顔に、程良い肩幅。最初のターゲットだ。彼女が駅舎から屋外に出た時、ikasuiは彼女を追い越した。同時に冷たい夜風が二人を襲った。
ikasui「寒っ!(°_°)」
独り言でこちらの存在を認識させ、すかさず彼女に言葉を投げ掛けた。
ikasui「今日めちゃ寒いっすね。やばくないすかこの風(´・д・`。)」
肩幅「あっ…。はは、寒いですね(^_^)」

状況を利用し自然を装う、独り言オープナー。この時期のローカル駅では、かなりのオープン率を誇っている。立て続けに、季節外れの服装オープナーを使用した。
ikasui「俺、今日服装ミスってさ。すごい薄着で来てしまったんよ(´∀`; )」
肩幅「ほんとですねw 寒そう( * ´ 艸 ` )」
ikasui「そのコート暖かそうっすね。ファッションセンターしまむら?(´ ω ` )」
肩幅「違いますw でもこれ全然暖かくないんですよ。触ってみます?(´・ω・`)」
そう言って彼女はコートの裾をikasuiに触らせた。出会って間も無い頃に、体や衣服に触れても抵抗を示さない女性は即系の可能性が高い。彼女もまた即系か…。即狙いではなく婚活ナンパをしているのに、そんなことが脳裏を過った。

彼女はアパレル店でバイトをする女子大生。登下校でいつもこの駅を利用しているらしい。互いのことについて話しながら駅周辺を歩いていると、ラウンドワンの前に差し掛かった。
ikasui「ちょっとだけラウワンであったまろ。寒すぎるw(´ ω ` )」
肩幅「そうですねw(。・д・。)」
ノリと勢いの連れ出し打診に、彼女はすんなりOKした。二人はラウンドワンに入店し、そのまま中のカラオケへと向かった。

19:15
カラオケに入り、和みを開始した。この連れ出しの目的は、彼女が理想的な女性かどうかを見極めること。ikasuiは時間を掛けて話し合い、彼女の内面を探った。
幸運にも、彼女とはかなり気が合った。思考が柔軟で、ノリが良い。ikasuiと同じくお酒が飲めず、物事の価値観や恋愛観も似ている。更には、将来子供は欲しくないという考え方まで同じだった。これにはikasuiも驚いた。

しかし、彼女には一つ大きな問題があった。メンヘラ臭がしているのだ。V系好きで、依存体質。夜のミナミによく居るような、メンヘラ即系バンギャの様な特徴を持っていた。致命的だった。理想の彼女に選ばない理由としては、十分過ぎる事実だった。
そうと分かれば、彼女と一緒にいる意味は無い。しかし、お互いかなり気が合うのも事実。放流するのは甘えさせてからでも悪くはないだろう。ikasuiは癒しを求めて、いつものルーティーンを使用した。

ikasui「肩幅って彼氏おったらいっぱい甘えてそうやね( ^ω^)」
肩幅「えー、それはどうかな(´ ω ` )」
ikasui「絶対そうやろ。今だって人肌恋しいですって顔しとるやん(。 - `ω´-)」
肩幅「なんなんw 私そんなに分かりやすい?(´・д・`。)」
ikasui「バレバレや。ほら、たまには甘えておいで(..◜ᴗ◝..)」
そう言って彼女を抱き寄せた。彼女は少し照れながらも、そっと重心をこちらに預けた。

そのままキス。
股間に触れても拒絶は無い。
penisuiはペニスを取り出しながら、無意味な即に罪悪感を感じた。
penisui「うわあああ‼︎\(´ O ` )」


肩幅「ピェェペニっす!!!\(。´ ○ `。)/」

行為を終えて、解散した。
もう会うことも無いだろう。
ブログのネタにもなりやしない。
いつか忘れてしまう即。
この時はまだ、知る由もなかったから。
これが運命の出会いだったなんて。

数日後、肩幅からの電話が鳴った。
ikasuiは普段、既セクとは一切連絡を取らない。でもこの時は何気無しに、本当に暇潰しのつもりで、電話に出てみた。たわいも無いことから会話が弾み、1時間以上電話をした。
それをきっかけに、彼女とのやり取りが始まった。既セクと連絡を取ることに抵抗はあったが、肩幅とはかなり気が会う。日中はLINEで冗談を言い合い、夜には決まって長電話をした。いつしかそれが日課となり、毎日の楽しみとなった。

何時間も話をして、ある事が判明した。彼女はメンヘラではなかったのだ。メンヘラの様な特徴を持ちつつも、精神状態は良好で、家庭環境にも恵まれている。意外だった。肩幅がメンヘラでないのなら、理想の彼女候補じゃないか。次第にikasuiは、彼女に惹かれ始めた。
ikasui「正直、肩幅の家庭は問題あるんかと思っとったよ。虐待とかw(´ー`*)」
肩幅「それよく言われるんやけど、なんで?w 家族みんな仲良しやで( * ´ 艸 ` )」

それから、彼女は頻繁にikasui邸に泊まりに来るようになった。既セクと会うなんて、本当に久し振りのことだ。会う度に朝まで語り合って、会えない日には欠かさず長電話をした。田舎育ちの彼女は、とても純粋で甘えん坊な性格。ikasuiはそういう性格の女性が大好きだった。話せば話すほど、彼女の良い部分ばかり見えて来た。ikasuiが望んでいるものを、彼女はたくさん持っていた。ふと気付けば、彼女との将来のことを考えていた。

同時に、不安も感じていた。本当にこの子で良いのかと。肩幅は理想の彼女になり得るのだろうかと。
『女は星の数ほどいる』
頭に深く刻み込まれたこの言葉が、前に進むことを邪魔していた。PUAメソッドの弊害。もっと可愛い子はたくさんいる。もっと性格の良い子も山ほどいる。そう考えなければならない。そうとしか考えられないように、何度も自分に言い聞かせてきた。自分自身を洗脳してきた。それでも、肩幅は特別だった。肩幅でなければならなかった。ikasuiは、完全に魅了されていた。
そして、12月のある日。

肩幅「えー!めちゃ綺麗!!(゚ω゚*)」
なんばパークスの幻想的なイルミネーションに、彼女は胸を躍らせた。中国人観光客に主導権を握られた街 ミナミは、今日もクリスマスの甘い雰囲気に包まれている。
肩幅「見て見て!あっちもすごい!\(^.^)/」
子供のように無邪気にはしゃぐ彼女を見て、ikasuiはただただ癒された。言いようのない満足感と幸福感。いつ振りだろうか。この時間がずっと続いて欲しいと思った。

イルミネーションを一望出来るベンチに腰を下ろした。植木に囲まれた、人通りの少ない特等席。二人は手を繋いで、そっと肩を寄せ合った。
ikasui「初めて会った時、肩幅がこんなに良い子やとは思わんかったよ(´ー`*)」
肩幅「そう?(・ω・。)」
ikasui「ナンパされてホイホイ付いて来たやん。正直、ただのメンヘラやと思っとったw(´ ω ` )」
肩幅「もーやめてw 病んでへんからw(´Д` )」
ikasui「でもね、肩幅とは何しても楽しいし、気が合いすぎてびっくりしとるんよ( ^ω^)」
肩幅「ほんまにー?肩幅もikasui君とおったらめちゃくちゃ楽しい(。・ω・。)」

本当にこの子で良いのだろうか。自分自身に問い掛けた。もっと良い子がいるんじゃないかと。何度も何度も問い掛けて、それは無駄なことだと気が付いた。大切なのは理屈じゃない。人は感情で動くんだ。肩幅が好き。付き合いたい。その感情が大切なんだ。
彼女の頭を撫でた。彼女は嬉しそうに微笑んだ。とても心地が良い。満たされている。癒し、愛情、温もり。ikasuiがずっと求めてきたもの。それが、今ここにある。ずっと欲しかったものが、すぐ目の前に。

ずっと寂しかった。苦しかった。早くナンパを辞めたかった。ナンパなんて、本当はしたくなかった。どんなに即をしても、心の穴は埋められない。寂しさは一時的にしか紛らわせない。それでも、ナンパが好きだと自分に言い聞かせてきた。ちょっとしたことに楽しさを見出し、無理してナンパを続けていた。そうするしかなかった。そうしなければ、幸せになれないと思っていた。ナンパこそが、理想の彼女を手に入れるための、最善の手段だと信じていたから。

そして、ikasuiは彼女に告白した。
自分の想いを伝えながら、大きな喜びを感じていた。誰かを理想の女性だと認めることが出来たこと。そのことが本当に嬉しかった。
彼女は少し驚いた表情を見せた後、恥ずかしげに俯いた。そして、目に涙を浮かべながら、大きく頷いた。
肩幅「よろしくお願いします。」

冷たい夜風に吹かれながら、唇に感じる彼女の温もり。午後11時、都会の明るい夜空の下。ikasuiは彼女にバレないように、膨らんだ股間をずらしていた。
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